澁谷 俊 院長の独自取材記事
マリア動物病院
(大田区/蒲田駅)
最終更新日: 2023/01/22
蒲田駅から徒歩9分、たくさんの犬たちが散歩する気持ちの良い通り沿いにある「マリア動物病院」。2016年2月に開院。ガラス張りの明るい院内には、トリミング施設が併設されており、院名の由来にもなった看板犬・マリアが時折顔を覗かせる。犬、猫のほか、うさぎ、フェレット、ハムスター、エキゾチックアニマルなど幅広く診療。極真空手全日本ウエイト別大会の軽中量級で優勝経験を持つスポーツマンでもある澁谷俊院長と、看護師でありトリマーでもある院長の妻が、それぞれの専門を生かし、治療だけでなく、病気の予防、健康診断、しつけや美容に関しても幅広くサポートしてくれる。気軽に立ち寄れる動物病院をめざす澁谷院長に、得意な診療、獣医師を志したきっかけ、今後の展望など多岐にわたる話を聞いた。 (取材日2016年9月16日)
犬、猫だけでなくエキゾチックアニマルまで幅広く診療
開院して半年と伺っています。この土地を選ばれた理由は?
地元の五反田周辺で開院できる場所を探していたのですが、なかなか見つからず、エリアを広げて探していたときにこの場所を見つけました。僕は空手をやっていたのですが、その道場がすぐ近くにあり、ここは馴染みのある土地ではありました。この医院の前の通りが散歩道になっていて、ワンちゃんの散歩をしている人が多く、動物たちを身近に感じることができる環境です。当院はトリミング施設も併設していますし、美容やしつけも含め、ペットたちの一生に必要なものをできるだけカバーしていける病院にしたいと思っています。当院ではエキゾチックアニマルも診察しているのですが、最近ハリネズミが多いんですよ。近くにエキゾチック動物専門のペットショップがあるのですが、以前はあまり診察する機会のなかった動物なので面白いなと思っています。
奥さまが看護師さんであり、トリマーでもいらっしゃるんですね。
トリミングに来ていただくことで、皮膚のチェックもできますし、シャンプー剤もその子に合ったシャンプーが選べるように複数取りそろえています。トリミングには病気ではない子も来るので、気軽に利用してもらっていますね。美容を目的に来てもらって、病院内やスタッフの顔、どういう獣医師なのかを知ってもらい、来院のきっかけや入り口になったらいいなと思っています。いろいろな入り口を増やすという意味では、さまざまなSNSも利用していて、対面ではなく文章での問い合わせにも対応しています。季節ごとのイベントも開催していますが、そういうところはサロン勤務の経験を持つ妻が考えてくれていますし、一緒にやっていく中で、僕の考え方も変わってきたと思います。獣医師目線では気がつかないことも取り入れてもらえるのはありがたいですね。
マリア動物病院の名前の由来を教えてください。
この病院で飼っている犬の名前から取りました。妻が以前働いていたサロンで飼っていたいわゆるマスコット犬だったので、とても人懐っこくて、人も犬も大好きなんですよ。普段は入り口の見えるところでお迎えしています。皆さんが入ってくるとあの子の頭を撫でたり話しかけたりしてくれますし、和ませてくれますね。以前勤務していた病院でも犬や猫は飼っていましたが、人前に出てくる子はいませんでした。深刻な状態の子も来院するので、そのときの状況にもよりますが、元気な子が来院したときは一緒に遊んだりして良い雰囲気ではありますね。
早期発見、早期治療。予防の大切さはペットも同じ
予防や健康診断にも力を入れていると伺っています。
基本的に健康診断は若いうちから受けておいた方がいいですよね。定期的に受けて、その子の正常値を知っておくことが大事だと思います。正常値というのは幅が出てくるので、調子が悪くなったときにどの程度悪くなったのかがわかります。若い子なら1年に1回でいいと思いますが、7歳以上のシニアになってきたら半年に1回は受けたほうがいいと思いますね。人間の4倍のスピードで老化するので、半年に1回だと人間にしたら2年に一度ということになりますから、半年に1回でも少ないのかもしれません。人間も早期発見、早期治療が大事だといわれて、予防していきましょうと言われることが多くなってきていますが、ワンちゃんや動物もそうですね。早く発見すれば治る病気は多いですし、対処できることも多くなります。
そのためにはやはり「かかりつけ医」を持つことが大事ですね。
まだ開院して半年ですが、これからずっとここで動物たちを診ていきたいと考えています。今、診ている中には子犬ちゃんもいますが、その子の一生を10何年に渡って、これからずっと診ていくつもりでいますし、小さいころからのその子の性格や動物としての寿命もわかりますから、そういったところを大事にしていきたいなと思っています。診療に当たっては、飼い主さんに専門的なことを理解していただくのはなかなか難しいこともあるので、イラストや画像を使ったわかりやすい説明を心がけています。説明の後には必ず「何か疑問点はありますか?」と聞くように意識していますね。
先生はエコー検査が得意だそうですね。
最初に勤めた病院ではあまりエコー検査を実施していなかったので、僕も得意ではなかったんです。ところが、次に勤務した病院の院長がセミナーや勉強会に参加するのが好きだったので、エコーの実習にもよく行っていました。「じゃあ僕も行ってみようかな」と思って参加したら、これが実に面白い。実習では「エコーってこんなことがわかるんだ」ということが改めて理解でき、使い方をしっかり教えていただいたことで、エコーでできること、わかることがどんどん広がっていきました。情報量の非常に多い検査なんだということがわかって、さらに好きになりましたね。実習でその奥の深さを知ることができました。体に負担がかからず、知識と経験が大事になってくる検査なので、今後も診療の中で有効に使っていけたらいいですね。
しつけや栄養状態、病気だけでなくトータルなケアを
先生が獣医を志したきっかけを教えてください。
小さいころから動物は好きでしたね。直接のきっかけは、中学生のときに出会ったワンちゃんです。事故か何かにあったのだと思うのですが、その子は下半身不随でカートに乗って散歩していました。「かわいそうだなあ」と思ったのですが、何もできない自分がいてとても歯がゆい思いをしたのを覚えています。このワンちゃんとの出会いで、動物たちに対して何かできる人間になりたいなと思ったことがきっかけで、獣医を志しました。実際に獣医になってみると、動物たちとの別れもありますが、それ以上に元気になってくれる様子を見るとうれしいので、がんばっていくしかないなと思いますね。
しつけ教室の告知が貼られていましたが、そういった催しも行っていく予定ですか?
いずれはパピークラスなども開催していきたいですね。パピークラスは犬のしつけというより、子犬との接し方を学ぶ場です。何頭かのワンちゃんを集めて、ほかの子と遊んだりすることでしつけにもつながっていきます。今はまだ稼動していないもうひとつの診察室は、今後猫ちゃん専用にしようかなということも考えています。今、獣医界では猫ちゃんをどうするかというのがトピックで、待合室をワンちゃんと猫ちゃんで分けたり、専用の入り口を設ける病院もあるようです。当院は予約制なので、できる限り予約時間をずらすなどの工夫をしています。最近は猫ちゃんもしつけが必要だと言われていて、子猫のうちに慣れておけくことで、病院に来やすくなるのではないかと思うところではありますね。
最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
開院する前は診療のことばかり考えていましたが、それはもう当たり前のこと。そこにプラスアルファーを提供することで、プラッと立ち寄っていただけるような病院にしたいと考えています。病院内においては、ネットショップも立ち上げていきたいと思っています。僕もネットショップはよく利用しますし、餌などは重いですから配達してもらえると助かりますよね。利便性を上げたいなということは意識しています。患者さんから、しつけや栄養状態について聞かれることが多いのですが、今後はそういった獣医の範疇以外のことも勉強して、いろいろな知識を持って患者さんのニーズに応えていきたですね。動物たちの病気のことだけでなく、トータルで診ていける動物病院でありたいと思います。