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犬猫の心臓の雑音は心臓病のサイン? 検査が必要と考えられる症状

くう動物病院
(東村山市/東村山駅)
最終更新日: 2025/05/01


高齢になるとさまざまな病気にかかりやすくなるのは、動物も人間も同様だ。獣医療の進歩によりペットたちの寿命が延び、シニア期になって腫瘍・腎臓病・心臓病などにかかる子が増えている。「くう動物病院」の田島征幸院長は、以前より心臓病の治療に力を入れ、心臓病の検査や治療に数多く携わってきた。心臓病の治療では、適切な時期に適切な治療を行うことが大切だ。同院では心電図や血液検査の他、エックス線や超音波による検査なども実施。心臓病の種類や進行度を把握して、適切な治療につなげている。犬や猫に多い心臓の病気にはどのようなものがあるのか、また進行を防ぐために飼い主にできることなど、田島院長に話を聞いた。(取材日2025年3月31日)
目次
定期的な検査が心臓病の早期発見の鍵。呼吸の荒さや咳などの症状が見られなくても、動物病院通いの習慣を
Q.犬猫の心臓の雑音は、どのようにして見つかることが多いですか?
A.大半は定期検診で発見されます。当院では犬や猫のトリミングにも対応しており、その際に検査も同時に行うことで早期発見につながるケースも多いですね。心臓の病気は悪化すると命に関わりかねませんが、初期段階ならば生活の質を下げずに治療することも期待できるんですよ。ただし初期段階では症状が出ないこともあり、飼い主さんが日常生活の中でペットの心臓の雑音に気づくことは難しいです。心臓病に限った話ではありませんが、定期的に動物病院で検査を受けることが、何よりも早期発見の近道だといえるでしょう。▲動物の体調に合わせてトリミングを行っている
Q.雑音があった場合、どのような病気が考えられますか?
A.犬の場合、多いのは「僧帽弁閉鎖不全症」。加齢によって発症することが多く、心臓の弁が変性し、うまく閉じなくなる病気です。進行すると咳き込んだり肺に水がたまったりと、呼吸が苦しい状態になります。また猫の場合には、心臓の筋肉が厚くなり血液がうまく送れなくなる「肥大型心筋症」が多く見られます。胸や肺に水がたまったり、血栓を作ることにより麻痺や突然死を起こす病気です。他にも動脈管開存症、肺動脈・大動脈狭窄症、心房・心室中隔欠損症といった先天性の心臓病が見つかることも。心臓病はいくつかあり、レントゲン検査や超音波検査で「何の病気なのか」「進行具合」「薬や手術などの治療は必要か」を見極めることが大切です。▲飼い主にも正しく知ってほしい心臓病の知識
Q.検査や治療法について教えてください。
A.まずは聴診器や触診で、心臓や呼吸の音、心拍数や呼吸数などをチェックして、体の状態を把握します。次にエックス線検査で、心臓病の影響を受けやすい肺や気管支、血管の状態などを把握。超音波検査では、心臓の内部構造や大きさの変化、血流などをリアルタイムで確認。これにより診断を確定し病態を把握していきます。併せて心電図検査や血液検査、血圧測定などを組み合わせ、心臓病の種類や進行度、薬や手術の必要性についても診断します。専門病院での検査や手術・カテーテル治療が必要となることもありますが、犬に多い「僧帽弁閉鎖不全症」や猫に多い「肥大型心筋症」は薬の処方で済むことも多く、その見極めのために各種の検査が必要です。▲診察室にてその場でエコーを当てて状態を把握
Q.投薬治療を受ける際に、注意すべき点があれば教えてください。
A.心臓の病気、特に犬に多い僧帽弁閉鎖不全症では、適切な時期に適切な薬を服用することが大切です。飼い主さんの判断だけで薬の量を調整したり、勝手に服用をやめてしまってはいけません。ですので獣医師側にも「心臓病だから」とやみくもに薬を処方するのではなく、適切な判断力が求められます。私は以前より心臓病の治療に力を入れており、心臓病の検査や治療に数多く携わってきました。しっかりとした検査と診断をベースに適切な処方を心がけ、その子ができるだけ長く快適に生活できるような治療提案を心がけています。▲獣医師から説明を受けた、正しい薬の服用方法を守ることが大事
Q.心臓病を進行させないために、飼い主にできることはありますか?
A.やはり定期的な検査に勝るものはありません。定期検診やトリミングなどで動物病院を訪れる習慣をつけておくとよいですね。当院では、トリミング時に毎回身体検査・聴診を行っており、心雑音を見つけることで、心臓病の早期発見につなげる工夫を行っています。心臓病が進行すると腎臓にも影響を及ぼしますし、高齢になるとそれ以外の病気にも注意が必要になるかもしれません。当院のホームページでは、心臓病の症状・サインについて代表的なものを掲載しています。少しでも心あたりがあれば遠慮せずに相談してください。薬が必要な状態であれば、動物の体を症状の少ない状態に導き、それをできるだけ長く保つことをめざします。▲フードについてや体重管理、健康診断など気軽に相談できる
動物病院からのメッセージ
田島征幸院長
獣医療の進歩によりペットたちが長生きになり、それに伴い老齢性の慢性的な病気にかかる子が増えています。高齢になると、さまざまな病気にかかりやすくなるのは人間と同じ。呼吸の荒さや咳に気づいたらすぐに受診してほしいのはもちろんですが、たとえ何も症状がなくても、健康管理のために定期的に動物病院を利用してください。心臓病は症状が急に悪化したり、命に関わったりすることもある病気。ですが早期に発見できれば、薬や生活管理でずっと快適に過ごせることも期待できるようになります。当院では心臓病の種類や進行度を見極めて適切な治療につなげ、もし運動や食事の調整も必要な場合には、それも含めて飼い主さんにお伝えしています。
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