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柴藤 徳洋 院長の独自取材記事

みのり動物クリニック

(文京区/湯島駅)

最終更新日: 2025/10/23

2003年に湯島三組坂に開業し、2017年には同じ湯島中坂に移転。地域のホームドクターとして診療を続けている「みのり動物クリニック」。柴藤徳洋院長は「飼い主とペットが充実した生活を送るための手助けをする」ことを目的に、飼い主の気持ちを尊重した丁寧な治療に努めている。それだけに飼い主たちからの信頼は厚く開業以来通い続ける人も多い。「ヒトと比べると成長のスピードが速い犬や猫は『生老病死』の先達ともいえる存在です。飼い主さんたちには、単にかわいいからというだけでなく、その覚悟を持って動物たちと接していただきたいですね」と柴藤院長は話す。クリニック名の「みのり」は、仏教用語である「御法」にちなんでいるが、まさにそこにつながるメッセージだ。そんな柴藤院長に獣医療への思いや研究活動などについて聞いた。(取材日2025年6月26日)

ペットを飼うことは「生老病死」を学ぶこと

湯島に開業した理由について教えてください。

開業した2003年頃は、住民が少なく動物病院も少ない街でした。ですが、いずれ新しい住民が増えて動物病院は必要になるだろうと考えたんです。また、ここは高度獣医療施設も近いですし、母校へのアクセスも良いので高度医療が必要になった場合は連携が取りやすいというメリットがあります。すべての治療を私が一人でこなさなくて済む分、飼い主さんの気持ちに寄り沿う医療を実現しやすいと思いました。私が幼少時代を過ごした福岡天神と雰囲気が似ている点も決め手の一つだったかもしれません。その後、当初の読みどおりにマンションが多く建ち、住民もかなり増加しました。当院もマンション開発の影響で2017年に現在の場所に移転しました。

街の変化とともに動物の疾病も何か変化がありますか。

開業当初は湿疹やアレルギー性皮膚炎など皮膚疾患が中心でしたが、だんだん心の問題が増えてきました。例えば飼い主依存や、体をなめ続ける、何もないのにほえ続ける、くるくる回り続けるといった異常行動です。依存症は動物が飼い主に依存するだけでなく、飼い主も動物に依存する共依存も多いですね。また、ペットがいつも体をなめているのは「その子の癖だから」とよく飼い主さんは話すのですが、実はストレスが原因と考えられるんです。飼い主さんの話をよく聞くと、実は近所でビル工事が始まったといったことがわかることも。実は、工事の音や振動を敏感に感じて、ストレスになっている可能性があるのです。そのような本当の原因を見つけるためにも、飼い主さんとコミュニケーションを取ることがとても大切なんです。

クリニック名の由来を教えてください。

僕が通っていた幼稚園の名前がみのり幼稚園だったからなんです。そう言うと皆さん冗談だと思うようですが、ふざけているわけではないんですよ。そこは浄土真宗系の幼稚園で、名前の「御法(みのり)」は「仏さまのお話」という意味なのです。仏さまの教えで一番重要なことは「生き物は必ず死ぬ。それまでどう生きるのか」ということ。必ず亡くなる生き物を飼う以上、どのように日々を過ごし、どんな最期を迎えさせてあげたいですか?という問いかけが、クリニック名には込められているんです。ヒトと比べると成長、老化のスピードが速い犬や猫は「生老病死」の先達ともいえる存在です。なぜ動物を飼うのか。それはただかわいいからという単純な理由ではなく、「生老病死」、生から死まで命の流れを学ぶことにあると考えています。そしてそれは飼い主自身にも必ず起きること。飼い主さんにはその覚悟を持っていただきたいと思っています。

重要な病理解剖はペットからの尊いメッセージを伝える

先生は長年免疫について研究されていると伺いました。

もともとバイオサイエンスに興味があって、日本獣医畜産大学院(現・日本獣医生命大学)や、農林水産省時代の約10年間で、動物のがん細胞と免疫の関係について研究していました。具体的には牛を対象にしたがんの特異抗原をリサーチし、それをがん治療に生かそうと考えていたんです。今でこそこの分野の獣医療はメジャーになりましたが、当時はこうした研究をしている獣医師はいなかったので異端児扱いでしたね。今もこの分野の研究に取り組んでいます。例えば、犬や猫から採取したがん組織を加工してワクチンを作ることができないだろうかと期待しています。将来、がんの治療や再発、移転の予防に生かすことができればと願い、取り組んでいます。現在は、理化学研究所のグループと一緒に、乳がんやメラノーマに対する研究を行っています。

こちらでは病理解剖による死因の解明も行っていると聞きました。

がんやそのほかの病気で亡くなった動物は、東京大学の獣医病理学研究室と連携して病理解剖を行っています。病理解剖によって本当の死因や病気のメカニズムなどを明らかにすることにつながりますし、若い獣医師たちの育成にも役立ちます。ひいては獣医療全体の向上にもなるでしょう。解剖といいますと、体を切り刻むといったイメージを持っている人もいるかもしれません。ですが解剖して調べた後は、きれいなご遺体に戻して飼い主さんのもとにお返ししますし、状況によってはその後荼毘(だび)にふすこともあります。私は日頃から飼い主さんに病理解剖の大切さについてお話ししていますので、飼い主さんも納得してご協力いただいています。

飼い主さんとの関係性がとても重要ですね。

最愛のペットが亡くなったら、どうしてだろうと飼い主さんにはもやもやが残ると思います。解剖して体の中の状態がわかると、こんなになるまで頑張って生きてきたんですよとリアルにお伝えできます。例えば、猫ちゃんが腎臓病で亡くなった際、腎臓がコチコチに硬くなっていて、そんな状態でも頑張っていたんですよとお話しすると、飼い主さんも納得して死を受け入れられると思うんです。病理解剖は、ペットたちからのメッセージや物語を伝えることでもあると思っています。

未病の段階で受診することが大切

治療する上で大切にしていることはどんなことですか。

進化する医療技術をキャッチアップするのは当たり前ですが、先進の治療法を提供することと飼い主さんに満足していただくことは別の問題。治療は飼い主さんの希望をくみ、一緒につくっていくものだと考えています。ただし、時にはこちらの主張を通させていただくこともあります。例えば、猫ちゃんに胃ろうを設置したことがあります。その子は、自身の力で食事が取れなくなって毎日点滴に通っていました。しかし、食事ができないだけで、自分で排泄できるんです。ですから、胃ろうによって直接胃にお水やお薬を入れられるようにすれば、ご自宅で飼い主さんがケアできます。もちろん、猫ちゃんにとっても負担は格段に減ります。胃ろうは寝たきりとなってしまった場合に行う治療というイメージがありますが、そんなことはないんですよ。そうした誤解を解くのも私の役目だと思います。

早期発見・早期治療のために工夫されていることがあるとか。

早期の段階で病気を発見するには、定期的に診る必要があります。ですからその工夫として、フィラリアの予防薬を1年分まとめて渡さずに、毎月来院いただいて診察室で飲んでもらうようにしています。その時に体重や心電図を入念にチェックしています。すると、目の傷や耳のただれなど飼い主さんでは気づかない体調の変化が見つかることも多いんです。もちろん、チェックしてどこも悪いところがなければ、フィラリアの投薬費用しかいただいていません。また、そのように毎月会っていると、飼い主さんともワンちゃんともコミュニケーションが取れ、信頼関係を築けるのも大きなメリットですね。

最後に読者へのメッセージをお願いいたします。

「ワンヘルス」という考え方を大切にしています。ワンヘルスとは、人間と動物の健康、環境の健全性を一体的に守っていこうという理念です。より多くの方にこの考えを知っていただくこと、そして、動物と人間との関係性に関する正しい知識、アニマルリテラシーを上げていくことも当院のミッションと考えています。飼い主さん方には、具合が悪くなってから受診するのでは遅いので、未病の段階で来ていただいて、その良い状態を維持していただきたいですね。

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