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「自然に治る」は間違い 専門家による診療が必要な猫の口内炎

hanaペットクリニック
(文京区/江戸川橋駅)
最終更新日: 2025/04/30


人と同じように、猫の口内炎も時間がたてば治ると思っている飼い主は少なくないだろう。しかし実際は、専門家のもとで適切な治療を受けないと根治をめざせない症状なのだという。地域の動物病院として、一般診療から専門的な歯科診療まで多様な診療を提供している「hanaペットクリニック」の鈴木憲人先生は、猫の口内炎に関する啓発活動にも尽力している獣医師だ。「猫の口内炎は治ると思って放置したり、内科治療だけで改善を図ったり、間違った対応によって悪化するケースが少なくありません。正しい知識を身につけて、適切な治療につなげていただきたいです」と話す。歯科を専門とする鈴木先生に猫の口内炎とはどのような症状なのか、放置するリスクや治療の流れなどを詳しく教えてもらった。(取材日2025年4月1日)
目次
自然治癒や内科治療での根本的な改善は望めない猫の口内炎。専門家による外科治療とケアを受けることが大切
Q.猫の口内炎とはどのような症状なのでしょうか?
A.口内炎とは、頬粘膜や舌粘膜、喉の奥などに起こる炎症を指します。発症するとたくさんのよだれが出る、よだれによって手先が汚れる、ご飯を食べようとするが飲み込めない・痛がる、口を気にするといった様子が見られます。猫の場合、細菌・ウイルス感染や栄養状態の悪さが原因であるケースの他に、自己免疫が過剰に働いてしまい発症するケースも多いと考えられています。ですから改善をめざすためには口腔内のクリーニングだけではなく、抜歯も必要となることがほとんどです。ちなみに犬も口内炎を発症しますが、ほとんどが歯周病から波及するものなので、歯周病の治療だけで対処できる場合が多いですね。▲専門性の高い歯科診療を提供する鈴木先生
Q.口内炎が発症しやすい猫の特徴はありますか?
A.自己免疫が関係する口内炎の場合、まだ免疫がしっかりと備わっていない若齢の猫が発症しやすいです。ただ口内炎の症状は気がつきにくいものが多いので、発症自体は若い頃からでも、受診は高齢になってからというケースが多いですね。食事や生活の内容が直接口内炎を発症させることは基本的にありません。ですが、不適切な食事や生活をしていると栄養状態が悪くなり、免疫力が低下。そして結果として、しっかりとデンタルケアを続けていたとしても、口内炎の発症につながることがあるので注意しましょう。▲検査結果を用いて、わかりやすい説明を行う
Q.猫の口内炎は自然に治るのでしょうか?
A.人だと「口内炎=自然に治る」という印象がありますが、猫の場合はどの原因でも自然に治ることはほとんどありません。改善を図るには、原則口腔内のクリーニングや抜歯といった治療が必要です。放置したり、内科治療でしのいだりして発症から月日がたってしまうと、悪化の一途をたどってしまうことも。また、口内炎の痛みによって食事がまともにできないことで、腎臓や肝臓に影響を及ぼす可能性もあります。そして、発症からしばらくたつと、適切な治療を行っても症状の軽減が期待できるようになるまで時間がかかる恐れも。ですから、症状が出る前から定期的に、口腔内のことで気になることがあればすぐに受診するのがお勧めです。▲充実した手術室を用意
Q.こちらで行っている、猫の口内炎治療の流れを教えてください。
A.先ほど挙げた症状は、口内炎の他にも歯周病や口腔内腫瘍などの病気の可能性もあります。ですからまずは飼い主さんから詳しくヒアリング。全身麻酔下で、歯科用エックス線装置などの専用機器を用いて検査を行い、確定診断につなげます。猫の場合、歯に付着した細菌などから強い炎症が起こることがあるので、根治をめざすためにも治療は基本的に全臼歯もしくは全顎抜歯をご提案することが多いですね。猫の負担を考えて、「まずは内科治療から」と希望される飼い主さんもいらっしゃるでしょう。ですが、内科治療で根治をめざすのは難しく、むしろ症状が長引いたり、薬への耐性ができてしまったりと、状況が悪化する恐れがあるのでお勧めできません。▲適切な診断のために必要となる口腔内エックス線撮影装置
Q.口内炎治療の後は、何かケアが必要なのでしょうか?
A.多くの子が、クリーニングや抜歯といった治療を行うことで症状の改善が期待できます。まれに治療をしても炎症の引きにくい症例もありますが、そのときは内科治療で炎症のコントロールを図ります。しっかりと抜歯まで行うと、自己免疫を原因とする口内炎は良化することが期待できます。ただ細菌・ウイルス感染によるものの場合は再発する可能性がありますので、自宅でのデンタルケアと定期検診で、良い状態の口腔内を保つように努めていただくと良いでしょう。定期検診は当院の場合、重度だった子なら1ヵ月に1度、重度でも症状が緩和してきたり、軽度から中程度だった子なら3ヵ月~半年に1度のペースで受けるようにご案内しています。▲幅広い治療に対応する歯科治療ユニット
動物病院からのメッセージ
鈴木憲人先生
口内炎か、それとも別の病気なのかを見極めるには、獣医師の知識・経験が重要です。また口内炎に対するアプローチとして有用な全臼歯・全顎抜歯は、専門的な技術や設備が必要です。このことから口内炎をはじめとする口腔内に関する相談は、知識・技術・経験が豊富な獣医師にするのがお勧めですね。当院の場合、僕自身が勤務医時代に歯科に注力する動物病院で研鑽を積み、数多くの歯科診療に携わった経験を持つ、歯科を専門とする獣医師です。院内には歯科治療用ユニットや歯科用エックス線装置などの専用機器がそろっているので、一般的なものから難症例まで、ほとんどの歯科診療を院内で実施できます。何でも相談していただけたら幸いです。
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