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不治の病とされるも発症抑制のための研究が進む 猫エイズ・白血病

ブルーム動物病院

(横浜市鶴見区/鶴見駅)

最終更新日: 2025/10/17

猫エイズ・猫白血病は、いずれもウイルスによる感染症だ。FIV、FeLVといったウイルスに一度感染すると生涯体内にウイルスが残り、発症すると命を落とすことにもつながる。「感染を避けることが最優先ですが、万が一感染してしまっても発症しなければ、命を落とすことは防げるかもしれません。近年は、ウイルス量を低下させるための薬物治療を実現する目的での研究も進んでおり、諦めずできることを模索できる可能性も広がってきています」と話すのは、横浜市鶴見区「ブルーム動物病院」の片山政都院長だ。猫エイズ・猫白血病の診療経験も豊富に持つ片山院長に、猫エイズ・猫白血病の概要と治療の可能性について詳しく聞いた。(取材日2025年9月22日)

治療法の確立されていない猫エイズ・猫白血病だが、発症を抑えられれば寿命を全うできる可能性も

  • Q.猫エイズ・猫白血病とはどのような病気ですか?

    A.

    ▲どちらもさまざまな感染ルートが存在すると話す片山院長

    猫エイズ(猫後天性免疫不全症候群)と猫白血病(猫白血病ウイルス感染症)は、ウイルスによる感染症です。いずれも免疫不全を起こし、健康に悪影響を及ぼします。感染経路は異なり、猫エイズは主に血液を介して広がります。喧嘩による咬傷や交尾が主な原因で、母猫から子猫に母子感染することもあります。一方で、猫白血病は唾液や尿、便なども感染ルートとなります。検査方法は、血液を用いた簡易キットによるスクリーニングが一般的ですが、偽陽性・偽陰性の可能性があり、生後2ヵ月程度までの子猫では母体からの抗体が影響することも。疑わしい場合には、改めてPCR検査を行うことでより精度の高い診断につなげます。
  • Q.症状について教えてください。

    A.

    ▲免疫不全によりさまざまな体調不良を引き起こすという

    これらのウイルスは免疫不全を引き起こすため、初期症状としては「風邪をひきやすい」「口内炎が出やすい」といった体調変化が目立ちます。進行すると、血液をつくる骨髄の機能に障害が生じ、貧血や白血球減少が起こりやすくなります。リンパ節が腫れたり、原因不明の体調不良が続いたりする場合も少なくありません。また、FIVやFeLVに感染している猫はリンパ腫などの腫瘍性疾患のリスクが高まることが知られています。症状だけではっきりと「この病気だ」と断定できるものではなく、検査して初めてウイルスが背景にあると気づくケースも多いのです。あれこれ検査したけれど、体調不良の原因がわからないということもあります。
  • Q.治療方法などはあるのでしょうか。

    A.

    ▲同院には幅広い検査機器も備えられている

    現時点で、猫エイズや猫白血病を完全に治す方法は確立されていません。そのため治療は基本的に「対症療法」となります。例えば、風邪症状の治療を、口内炎のケアを行うという形です。ただ近年では、体内のウイルス量を減らして発症を抑えることをめざすため、新薬の研究が進んでいます。ウイルスに感染してしまっても、発症を抑えられれば最低限の健康は維持できるでしょう。その研究に期待をしているところですが、現状は、飼育環境の工夫や定期的な検査で体調を見守り、適切に対応してあげることが重要です。
  • Q.口内炎と関係しているケースもあるそうですね。

    A.

    ▲口腔内トラブルが繰り返し起こる場合は早めに受診をしよう

    はい、口内炎は猫エイズや猫白血病と深く関係していることがあります。免疫力が下がることで口内の炎症が悪化しやすくなり、慢性的な口内炎に苦しむ猫が少なくないのです。特にFeLVやFIVの陽性結果が出ている猫では、口腔内のトラブルが繰り返し起こる傾向にあります。また、口内炎は単独の症状にとどまらず、腫瘍性疾患のサインである場合もあります。そのため「ただの口内炎」と軽視せず、背景に他の病気がある可能性を考慮することが大切です。口内炎の改善には日常的なケアや環境の見直しも重要です。食欲の低下やよだれ、口臭といった変化が見られたら、ぜひ早めに受診していただきたいと思います。
  • Q.猫エイズや猫白血病を予防するにはどうしたらよいのでしょうか。

    A.

    ▲猫の生活している環境などに配慮して対策することが大切だと語る

    猫エイズには、残念ながら現在はワクチンが存在しません。「感染している子と接触させない」というのが一番の予防法です。完全室内飼育を心がければ、野猫との喧嘩や交尾による感染リスクはほぼなくなります。一方、猫白血病についてはワクチンがあります。ただワクチンの副作用のリスクを考えると、すべての猫に必要というわけではなく、感染のリスクがある環境にいるかどうかで必要性を判断すべきです。例えば、すでにFeLV陽性の猫と同居する場合や、外に出る機会がある場合、保護猫を新しく迎える場合などは、ワクチン接種をお勧めします。保護猫など、感染の可能性がある猫を新しく迎えるときには、最初に検査をすることも大切です。

動物病院からのメッセージ

片山政都院長

猫エイズや猫白血病は「感染=即重症」というわけではなく、感染しながらも長く元気に暮らしている猫もたくさんいます。大切なのは、正しく理解し、できるだけ発症させないように見守っていくことです。検査で陽性となった場合でも、諦めずにできることはあります。残念ながら今のところは完全に治せる病気ではありませんが、最近では先述のとおり新薬の研究もされていますから、将来的に完治の希望を持てる治療法が確立されるかもしれません。「諦めない」姿勢で診療する私たちと、一緒にできることを探していきましょう。

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